本校には、豊富な国際交流プログラムを活かし、多様な文化に直接触れ、体感し、地球市民としての資質を養うことを目標にした、地球市民育成プログラムがあります。世界各国の生徒と協働する経験を通し、世界の誰とでもチームとして働くことができる国際感覚やコミュニケーション能力を養います。
さらに、この地球市民育成プログラムの中に、本校の豊富な国際交流のプログラムを計画・立案・実施していきながら、グローバルリーダーとしての資質を向上させる目的で、国際交流推進委員を設け、活動しました。具体的には、前期・4月に行われたアメリカ・セントジョーンズベリーアカデミーやオーストラリア・ザリベリーナアングリカンカレッジとの交流を通して、国際交流の面白さや意義について体験した生徒の中から、国際交流推進委員を募り、後期の中国人との交流や、ASEAN各国からの青年団との交流を企画・立案・実施をし、成果を山形市で行われた国際理解フォーラムにおいて発表しました。
前期・姉妹校との交流
2校の姉妹校との交流は、とにかく英語に浸ることができる交流であり、本校生徒は積極的に英語でのコミュニケーションを図り、チャレンジしていました。授業を仕掛ける教員も、英語を話さざるをえない状況を設定し、生徒たちの活発なコミュニケーションを促していました。
そういった中、言葉の壁を越えてわかり合うことの楽しさ、喜びを感じた生徒の中から、もっと積極的に国際交流に関わっていきたいと感じる生徒が出てきました。その中から特に意欲的で目的意識の高い生徒を選び、国際交流推進委員を組織しました。
JENESYS2.0中国高校生訪日団短期招聘事業を企画・立案
本校では毎年恒例のJENESYSプログラム。今年度は中国人高校生50名の受け入れでした。この交流を学校全体としてどのようにプロデュースするのか、国際交流推進委員で議論し、生徒たち自身で交流プログラムを作成しました。
体育館が耐震補強工事のため使用できないという状況の中、全校生でどのように出迎えをし、歓迎会を行うのかというところから、国際交流推進委員の多くが参加することから、ハワイ研修とオーストラリア研修に参加する生徒と一緒に、日本文化紹介のプレゼンテーションをしたり、学年ごとの交流会の内容をどのように持つのか考えたりしました。日本文化のプレゼンテーションでは、本校に在籍する中国人留学生に通訳を依頼するなど、国際色豊かな本校ならではプレゼンテーションになりました。
学年ごとの交流では、全員参加型のウルトラクイズ形式で、日本人と中国人が互いに気づきや学びが多く、楽しめる交流になるよう工夫しました。また、お互いに漢字を使用するという点に着目し、協同の漢字リレーを行いつつ、仲良くなれる工夫がなされていました。
残念ながら時間が足りなくなってしまい、「豊かさ」についてのワークショップ及び意見交換会が出来ませんでしたが、誰もが中国人生徒と関わり、楽しめる有意義な国際交流となりました。
中国人生徒たちと
本校生徒から、「なぜ個人的にはこんなに中国人と仲良くなれるのに、国が入ると関係が悪くなるのだろう」という声も聞かれました。
中国人生徒と川柳を作りました。
作品作りを通して日常のちょっとした喜怒哀楽の瞬間について、「あ、それわかる!」とたくさん共感していました。
英語と漢字を駆使し、コミュニケーションを図り、協同作成しました。
山形大学・三上教授のレクチャー
中国人高校生との交流をもとに、さらに意義のある国際交流を求めて、地域社会における国際交流活動、他文化理解活動の現状を把握し、今後のあるべき姿を考える「異文化問題地域事情」という講義を行っていらっしゃる、山形大学地域教育文化学部異文化理解コースの三上英司先生から、国際交流の意義や目的などについて、講義をしていただきました。
交流とは何か、その奥には自分自身をしっかりとつかまえ、死ぬまで変化する自分自身の人生を生きるためという本質があること、だからこそ、交流するときには自分にできること、自分自身を相手に伝えることが大切であるということなどを教えていただきました。
三上先生の熱い思い、メッセージに生徒たちは感銘を受け、2時間の講義があっという間に感じるほど、大きなものを手に入れることが出来たようです。
三上先生の講義。尊重→理解→交流→協力→支援というサイクルについても教えていただきました。
先生のゼミ生である大学生、大学院生も交え、講義を受けてきました。大学生の方々からもアドバイスや励ましの言葉をいただきました。
ASEAN10ヶ国からの訪問団受け入れ
10月末に行われる、「内閣府主催 日本・ASEAN青年交流プログラム」による、ASEAN10ヶ国からの青年団との交流事業の準備を行いました。山形大学の三上先生の教えを受け、早速国際交流推進委員は会議を開き、まずは講義の振り返りを行い、国際交流をするうえで大切なことのコンセンサスを持ちました。また、そういう視点で中国人高校生との交流を振り返り、反省点を抽出しました。そのうえで、どういう交流が理想的だったのかを考え、反省として挙げられたことの原因を分析を行いました。
そういった経過を経て、自分たちで今回の交流のテーマを「一人一人が見えるコミュニケーティブな交流」と設定しました。そして、このテーマを形として落とし込むと具体的にどういう交流を行うといいのかという方法について考えました。今回はクラス単位で1、2年生すべての生徒に交流を持ってもらいたいという思いから、クラスごと、どのような活動をするといいか、その内容を検討しました。具体的には生徒たちが必ず持っている携帯電話という武器を利用し、「自分のお気に入りの場所」「自分が好きなもの」「自分のお気に入りの一枚」などを表す写真を見せあいながら、それについて説明していく交流を提案しました。その活動を通して、ASEANの人個人が(その国がということではなく)どういう人なのか、そして自分はどんな人なのか理解することができる。そして、外国からのお客様だけではなく、クラスメートについてももっとよく知ることができる(交流できる)という活動です。
これを国際交流推進員はクラスの委員長などにコンセプトを伝え、クラスごとの計画をチェックし、アドバイスをしながら当日を迎えました。
当日は狙い通り、ASEANの人も、日本のステレオタイプの紹介ではなく、今目の前で交流している「人」が見える交流でとても面白かったという感想を寄せてくれたように、大いに盛り上がりました。また、活動中に、本校生の間でも「あ、○○ちゃんもこれ好きなの?私も、知らなかった」というように、クラスメート同士知り合うことができました。
放課後は米沢に住む私たちが自慢できるものを紹介したいということで、小野川温泉の足湯を楽しみ、また、米沢のB級グルメ?「あじまん」を食べさせ、「やっぱりこの季節の米沢だったらあじまん食べないとだめだよね」と言いつつ、おいしそうに食べるお客様を見る推進委員は満足していました。日本の高校生の「素」の部分、日常生活に触れることが出来て、各国からの参加者も非常に喜んでいました。
思えば私たちも外国へ行ったとき、その地の人々が実際にどのような生活をしているのかは非常に興味のあることですよね。生徒たちはその部分をしっかり考えてプログラムを組んだようで、改めて感心しました。
山形国際理解実践フォーラムにて発表
11月末にはこれまでの国際交流推進委員としての取り組みや、成果を、また、夏に行われた地球塾で考えた多文化共生についても山形市で行われた国際理解実践フォーラムで発表しました。分科会の枠ではなく、ランチセッションとして行った結果、東北各県からの参加者に集まっていただき、発表することが出来ました。
中国人やASEAN青年団との交流を企画し、実際に交流してみてどうだったのか、自分たちにとって交流とはどのようなものなのか、得られたこと、交流を通して変わったことは何なのかについて、自分たちの言葉で発表しました。
生徒からは「交流を通して、こういったことに積極的に参加すると面白いということがわかり、中学までは自発的ではなかったけれど、今はいろんな事にチャレンジしたいと思うようになり、国際交流推進委員にもチャレンジし、実際にやってみると物事を創り出す楽しさもあり、達成感が半端なかった。」
「世界を鏡として自分を知る、新しい自分に出会う、成長できるというサイクルがあるのが国際交流だと思う」「世界の人のいろんな価値観に出会え、それが自分の幅広い視野に広がって、ちょっとしたときに、あ、こういう見方もあったな、などとつながっていって、考えも広がったように感じる」という報告がありました。また、地球塾で多文化共生について考えたことの発表として、もちろんハラル食などを市民に伝えることや、メニューを作って人々に楽しんでもらうことにより、徐々に認知度を上げていくといった意見もありましたが、東日本大震災のような災害時に、日本語があまり得意ではない外国人が、社会的弱者とならないように、どのように情報を流すか、ネットワークを構築するか早急に考えなければならない課題だと発表し、参加者からの関心を集めていました。
高校生だけではなく、大学生や教師なども相手にして堂々と素晴らしい発表を行いました。一般の参加者から、「とても素晴らしい発表で、高校生がこんなことを考えられるなんてすごいと感心しました」という感想も寄せられました。
小さい取り組みではありますが、生徒たちはこのグローバルリーダー育成プログラムによって、大きな成長と、自信をつかんだようです。
イスラム教のためのハラル食メニューやユダヤ教のためのコーシャー食などいろんな宗教に対応するメニューをレストランにおいてもらい、米沢市民も楽しむことで多様な食について認知度を上げたいというプランを発表しました。
本当に多くの人に発表を聞いていただきました。予想を超えるほど多くの質問も出され、四苦八苦しながらも生徒たちは丁寧に答えていました。
堂々とした発表ぶりです。いろんな場面でプレゼンテーションなどを経験してきましたが、また一ついい経験を積みました。ここから世界で活躍するグローバルリーダーが生まれることを期待しています。
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