模擬国連に向けた準備
準備期間
令和3年9月17日(金)5・6時間 / 9月22日(水)1・2時間 / 9月24日(金)5・6時間 / 10月1日(金)5・6時間
準備内容
「世界の食糧事情」の授業の中で、世界には8億1000万人の栄養失調者がいることや飢餓が生まれる原因、フードロスの問題などについて学んだ。その後、2050年に起こると予測される食料問題や土地と水の問題などについて学び、2050年の子ども達のために、2030年までに何を達成しなければならないかを考えた。今回の模擬国連は食の安全保障の観点で行うこととし、生徒は28か国に分かれて、それぞれの国の食糧自給率や農地面積、GMOの立場、食糧廃棄、バイオ燃料、土地と水資源、農業に関する技術・資金、考えられる施策などを調べながら、国として提案を行うためにポジションペーパーをまとめて模擬国連に臨んだ。
模擬国連
参加者
プロフレスコース1年生16名・2年生25名・3年生14名 / 新庄東高等学校生徒8名
活動内容
模擬国連では、開会宣言、出席確認から始まり、アメリカ、中国、マレーシア、スペインの代表が公式スピーチを行った。スピーチの後に非着席コーカス(アンモデ)の提案がされたので、非公式討議に移った。アンモデの中では、生徒が国の代表として自国の提案をしながら、賛同を得られるように様々な国との交渉を進めた。5回のアンモデを通して議論を深め、アメリカ、スペイン、マレーシア、アフガニスタン、サウジアラビアが最終提案を行った。今回の決議は、ロールコール方式として3分の2を超える賛成で可決となる。投票では、スペイン、マレーシア、サウジアラビアの提案が可決された。なお今回の模擬国連は公開授業とし、中学校の先生方にも見学していただいた。
生徒による振り返り
設問:模擬国連本番の議論の中で学んだことや、感じたこと、考えたことなどを教えてください。
- 韓国はGMO(遺伝子組み換え作物:A Genetically Modified Organism)反対の立場は明確にして最後まで突き通して議論することが出来た。しかし、他の面での立場、例えばほかの政策について自国の利益ばかり考えてその政策自体のメリットデメリットが見えていなかったと思いました。また、最初にGMOの政策としてGMOの表示の義務化を考えていたけど利益や、最終的な目標である2030年までの食料の担保という論点から外れていたので次回は政策を行う背景そして目標を深く考えより活発な模擬国連にしたいと思いました。前回よりも多くの知識を調べられてはいたけど、模擬国連の中の交渉で上手く活用できていなかったことも次回への反省だと思いました。
- 相手の国と利害を一致させる事の難しさを体感した。 相手の国に賛同するに当たって自国のメリット、デメリットを考えるのがとても大変だった。
- 調べ学習や情報などちゃんと整理した状態で臨んだが、実際に交渉すると思いつかなかったり返しができなかったりと難しいところがあった。
- GMOに対しては一部の干ばつ対策に対しては認めているが、国民の意思としてはまだまだ反対が多いという現状を踏まえた上での議論だったので、どちらの立場につくことがオースラリア大使としてすべき事なのか、国民の気持ち等も考えて議論することがでた。また、農業技術や物資も十分にあるため、その資源を世界のために自分たちの国を守りながらどう活用していくか、様々な国と話し合って結論を出すことができた。
- 途上国や農業大国でも、GMOを推進している国と反対してる国があるので、サウジアラビアは中立の立場だからこそどちらの国と交渉するのか判断するのが大変だった。
- アメリカの立場として、GMOを進めていく中で多くの国が賛成してくれると思っていたが、それほど多くなかった。
- バングラデシュなどの立場が弱い国が政策を実施するには沢山の国の協力が必要だと思った。最初は自国にメリットしかないなと思った政策もあったが、先生からの助言や色んな人の話を聞くことで様々な問題点が見つかり、違う観点から見ることも大切だと思った。
- まず議論前の情報の量が少なければ孤立国になっていたと実感した。議論の中で同じ問題に直面している国や自分たちの国が独占しているものがあり絶対交渉にくるだろう国と議論することになった時は、自分たちの考えをいうことができた。また今回は、提言する活動には、関われなかったが、自分たちの中でも詰まってしまった問題を公表する形で提言してもよいと思った。
- 反対国に自分達の制作をどのようにアプローチしていくかが1番手間取った。お金の面での交渉だけでは出来ない相手国もいたので次の国連では交渉の仕方も多様に考えておきたい。
- 模擬国連をする前までは自国で政策を考えていたが、自分たちと同じような立場の国が見つからず、自国の政策を考えて動くことが出来なかった。全体で自国に入る利益のこともあまり考えていなかったので調べが甘かった。自分と違う立場の国の意見があまり聞けずに、同じ立場の国としか話してなかったので、次回からは反対国にも注目していきたい。
- 私たちの政策は途上国向けではなかった。もう少し自分とは違う立場の国からの視点も取り入れるべきだった。全ての国で同じ政策をするのはそれぞれの国の土地や財力、技術力の問題などがあり、難しい。だから先進国が積極的に問題解決に向けて取り組んでいかなければならない。そして一時的な援助ではなく持続可能で循環型の政策が必要だと思った。
- 他国と意見を交わし合う上で、意見が変わったりした。アフガニスタンと交渉をした時は、スペインとの交渉はまったく考えていなかった。しかし、今回のテーマとして考えると、多くの提案をかけ合わせてした方が良いと考えるようになった。それまでは、やはり自国の利益等を考えると他国との交渉を合わせながらとかを考えていた為、今回の模擬国連では迷った部分だった。
- 初めのスピーチでGMO賛成の国が多くてその政策について勧めていく方針だったが、反対国が多く、意見が沢山あるなかでGMOはなしと考え出した。工場を建てると簡単に言ったとしても、各国に平等に建てるのも場所的にも難しい。またひとつの国で作って周りの国に輸出していくのもほかの問題も出てくるので、バランスが難しかった。
- 昆虫食や、国際農園といった今まで考えてもいなかったことに着眼していて本当に面白いと思った。昆虫食は、昨年色々あり知ってはいたが、それが食糧問題解決に繋がると言うのは驚きだった。また、国際農園も考えは素晴らしいものだったので、詳しく調べてみたいと思った。
- 仮にどこかの国と似たような政策をしていたら、圧倒的に資金を取引にしているところに国は集まる。話のスピードがはやいため、もっと早いうちに形作るべきだった。尚、宣伝力の強い国が勝つので、もっと、積極的になるべきだった。国際益ばかり考えてたら自国へのリターンは一体何かがわからなくなったので、目的・方向性をはっきりさせて取り組むべきだと思った。
- バングラデシュは途上国で、資金も土地も技術も無く、提案をするには立場の弱い国だったが、立場が弱いからと言って他国の提案に賛同するだけではなく、声をあげることで世界の問題の解決に繋がることを他の国の様子を見て感じた。また、自国にとってメリットしかないような他国の提案でも、他の視点から考えてみると、対立関係や、賛同したことでの自国の信頼度など、新たなデメリットが生まれ、逆にデメリットの方が多くなってしまったことがあり、他の視点から問題を考える大切さを学んだ。
- ファシリテーターとして、どのようにしたら答えを提示せずに円滑に進められるか考えるのが難しかったが、しだいにスムーズに進められるようになった。また止まっていてどうしたらいいか分からない国に対してもアドバイスができたのでよかった。みんなの熱量に負けないように、私もアドバイスする国の視点に立ったり、もしくは反対の国の立場から意見してみたり、いろいろな立場に立って話が出来て楽しかった。
- 準備の段階で考えもしなかった昆虫食などのアイデアが提案されて、食料問題に対してこれまでになかった新しい視点を得ることができたと。 GMOをしている国としてない国で2つに 分かれるなど、実際の国連でも同じようなことが起こるのかもしれないのだと感じた。また、大使の立場として少しでも納得いかない政策には賛同することができず、どこの国にも賛同できない状況が続いてとても大変だった。
- 自分はいい提言の内容を持っていたと思うが、伝え方が下手だったと思う。飢餓を0にするということをベースにして考えた時に、他の国よりも実現性が高く良い意見だと思ったが、GMOを反対する国が多く、その国と話し合いをして協力してもらえるようにすることができなかった。他国の提言を聞いて疑問に思う部分が多くあったが、自分の提言を出すことで精一杯になってしまい、質問が十分にできなかった。
- 今回は提言をしなかったが、提言をした国で自国の利益と合致するものはなく、最終的にアメリカの提言に賛同はした。積極性がもっとあればさらに自国の利益と世界の利益を考えた議論を自分から展開できたかもしれないと感じた。数字のようなリアリティを持たせる議論が少なかった。土地がある。食料自給率が高い。農地がある。だからいいわけではなくて国際益のために自国の活用法をもっと見いだせたと思った。
- マレーシアの大使の人は前回の模擬国連でも面白い提言していて、自分にはアイディアを出す力(想像力、妄想力)がないと実感した。国益を1番に考えず国際益を1番に考えると結果的に国益に繋がることがわかった。
- アフガニスタンという国が理解され難く、なお誤解されるような国であるのは承知していたが、相手も人間なので色眼鏡で見てしまうというのも一因としてあると感じる。おそらく、アフガニスタンの地位向上にはジャーナリズムと色眼鏡にあるのだろう。そして、自己利益・他者利益を慮る上では、どうしても損得勘定になってしまう状況もあれば、円滑に決まる場面もあった。ここに相互理解の糸口を発見したと思わざるを得なかった。模擬国連の面白さはこのような発見と失望の連続にあるような気がする。
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