山形県米沢市、置賜地域での多文化共生について考えるため、アメリカ出身の米沢市国際交流員2名、米沢栄養大学に通う留学生、そして九里学園高等学校に在学している外国出身の生徒3名を交えて、座談会を行った。
各グループに外国人1名~2名が入り、前日のワークショップで考えた質問をしながら、在住外国人にインタビューを行った。外国人にローテーションをしてもらい、各グループは3組の外国人から聞き取りすることができた。
後半では、インタビューの中で出てきた問題を付箋に書き、KJ法でまとめた。
まとめた中から、一番解決しなければならない課題を選び、グループ内でどのように解決していくかを考えた。その後、模造紙にまとめた解決策をワールドカフェ形式で発表して、みんなで情報交換を行った。
[インタビューで出た課題]
・学校で先生の話や友達の話が通じない。
・敬語や方言が分からない。
・漢字が読めない。
・中国語で書かれているものが少ない。
・米沢に住んでいる外国人は雪が多くて困っている。
・アパート探しが大変。外国人は断られる。
・システムが複雑で、説明も日本語だけなので、バスや電車の乗り方が難しい。
・飲食店のメニューに写真や英語表記がないので、選ぶのが難しい。
・アレルギーがある人が、食べられるか確認するのが難しい。
・キャッシュレスが進んでいないため、現金で支払いをしなくてはならない。
・買い物の時、店員の対応が冷たい。
・宗教や文化の違いがある。
・日本社会の上下関係や友達作りが難しい。
・災害時の緊急連絡に使われる日本語が難しい。
・災害時のアラームなどは、英語または他の言語の表示がない。
・災害時の避難場所が分からない。
[課題を1つ選び、解決策を考える。]
≪言語について≫
・積極的に英語を話す。
・困っている外国人を見つけたら、声をかける。
・やさしい日本語を使う。
・英語と簡単な日本語のパンフレットを作る。
・ひらがなとカタカナで書く。
・在住外国人向けのサイトを作る。ウェブサイトは英語表示にする。
・英語と写真が入ったメニューを作成する。
・標識には振り仮名を付け、英語も表記する。
≪人間関係・日本人の受け入れ方について≫
・留学生にはやさしい日本語で話す。
・ワークショップなどを通して、外国文化に触れる機会を増やす。
・外国人と交流できる場を作る。
・外国人に対する偏見をなくす。
・外国人には笑顔で、ジェスチャーを交えながら、やさしい日本語、標準語を使って対応する。
≪災害時の伝達について≫
・多言語対応のアプリを作る。
・災害時のために、ハザードマップを多言語で作る。
・避難ルート、避難場所の地図を作成する。
・外国人ともお互いに助け合う。
【生徒からの感想と振り返り】
- 普段の生活で当たり前だと気に留めていないことが、外国の方にとってはすごく困ることだった、ということに気付いた。改めて、意識を持って生活しなければいけないと思った。
- 米沢に住む在住外国人には、言語や人間関係などたくさんの課題があることが分かった。
- 同じ学校にいる留学生にも声をかけて、少しでも安心してもらえるようにしなければいけないと思った。
- 国に対していろいろな偏見があったとしても、人に対しても同じように偏見をもってはいけないと思った。同じ学校でも様々な人種の人たちがいるので、特別な目で見ないようにすることが大切。
- 外国の方からの話を聞いて、困ることの中心は、日本語が分からないことから来るものだった。
- 日本語があまり分からない外国人には、やさしい日本語を使って、丁寧に話したい。
- 緊急時の連絡が日本語しかないと知り、危機感を持った。
- パニック状態の災害時にいきなり外国人とコミュニケーションを取って避難するのは難しいので、普段の生活の中で、留学生、英語の先生などの外国人と会話をしておくことが、災害時に外国人を助けるための事前準備だと思った。
- 宗教で禁止されている食べ物が店で表示されてないので、注文ができないと聞いた。飲食店は、そこにも対応すべきだ。これからハラルマークについて調べてみたい。
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