山形県米沢市、置賜地域での多文化共生について考えるため、米沢市国際交流協会の国際交流員でアメリカ出身のタイラー・バートン氏をお招きして、米沢市における多文化共生の現状についてお話し頂いた。
まずは、外国人旅行客が駅に降り立ち、スキーを楽しむまでに直面する課題を考えるワークショップを行い、グループごとに発表した。
その後、実際にバートン氏が日本で生活している中で感じた困りごとをお話ししていただいた。
外国人にインタビューした困りごと、スキーモニターツアーでのアンケートで指摘された改善点については、横山昭子海外交流アドバイザーが発表した。
外国人の困りごとを聞いた後、課題を1つ選び、自分たちができる解決策をグループごとに考えるワークショップを行った。
その後、次の日の座談会で在住外国人に聞きたい質問や確認したい課題などをまとめながら、座談会に備えた。
[バートン氏から発表された困りごとや気付いた内容]
- 日本での生活
・東京では電車の種類やホームの数が多く、利用するのが難しい。
・ゴミ分別が難しい。また粗大ゴミの処理方法は手間がかかる。
・道路名が出てこないので、道を探すのが大変。
・主に現金が使われているので、もし財布を落としたら困るのではないだろうか。
・個別包装の菓子など、プラスチックの消費量が多い。
2.日本の職場
・いまだにFAXを使っている。操作方法が分からない。
・クラウドサービスがあまり使われていないので、テレワークや在宅勤務がしにくい。
・紙の消費が多い。
・市役所でも、通路や階段が右側通行か左側通行か分からない。職員も分かっていない。
【外国人の困りごとリストとスキーモニターツアーアンケートで出た改善点】
・米沢市内の公共交通機関が不便なので、車を持っていない旅行客は観光地にアクセスしにくい。
・ロープウェイやスキー場では、外国語の表示がほとんどない。多言語での案内を設置したほうがいい。
・米沢市の観光客と在住外国人の一番多くは中国人、台湾人、韓国人、そしてフィリピンなどの東南アジアの人なのに、英語の看板しかなく、歓迎の気持ちがない。
・外国語ができるスタッフや外国語対応のアクティビティーが少ない。
・宗教・アレルギー・病気・生活スタイルによる食事制限がある人に対応できるレストランが少なくて困る。
・ウェブサイトがない料理店が多く、外国人や観光客がお店を探しにくい。
・多言語メニューが少ない。(写真もあるといい。)
・電子マネーに対応できるお店が少ない。
・無料Wi-Fiを利用できるところが少ない。
[ワークショップ1:外国人スキー客の困りごとは何だろう?]
・スキー場は遠いので、そこまでの行き方や、交通手段が分からない。
・バスでの支払い方法やリフト券などの購入の仕方、値段などが分からない。
・日本語ができないと、スキーレンタルや装備の準備も難しい。
・リフトの乗り方や、安全なコースなどが分からない。
・どこで昼食を食べたらいいのか、どんなメニューがあるかが分からない。
・買い物やトイレの場所が分からない。
・道に迷ったときや、分からないことがあっても、日本語で聞くことができないし、外国語で対応してくれるかが不安。
[ワークショップ2:タイラーさんの体験談や、外国人の困りごとから課題を1つ選び、自分たちができる解決策を考えよう。]
【課題】
・多言語メニューがない。
・メニューが分かりづらい。
・ウェブサイトがないお店が多くて、外国人が分からない。
【解決策】
・英語だけでなく、中国語・韓国語などの多言語メニューを作る。
・写真付きのメニューを作る。
・宗教やアレルギーで食べられないものを外国版メニューに表示する。言葉が分からなくて
も、指さしをすれば伝わる。
・店側に外国人の意見を知ってもらう。
・「やさしい日本語」を使うようにする。
【生徒からの感想と振り返り】
- 世界では言語の違いだけでなく、宗教などの文化の違いあるので、様々な人達に対応する難しさが分かった。
- 山形では、外国語の表記が少ないので、もっと増やしていくべきだと思った。
- 日本に在住していて少し日本語が話せても、難しい漢字や言葉があると聞いて、日本語の説明も見直すべきだと思った。
- 外国語=英語という偏見があったが、実際には様々な言語がある。日本に観光に来る人たちは必ずしも英語を使っているわけではないので、多言語に対応できるように活動してくべきだと思った。
- 旅行客は困ることがあるだろうと思っていたが、日本での生活している人でも、ゴミ分別や公共料金の支払いなどで、困ることがあると知った。
- 外国人旅行客が増えている中でも、目立った対応ができていない。外国人旅行客にも、在住外国人にも暮らしやすい社会にしなければならい。
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