【1~3年生:令和3年5月21日(金)】グローカルα 「カカオ農園ワークショップ」


イベント詳細


 

[活動内容]

児童労働や子どもの貧困を考えるワークショップを行った。授業の初めに「高校生ワーキングプア」からの抜粋を読み、ここに登場する高校生の現状を考えた。その後、ガーナを旅する日本人グループが、カカオ農園で働く子ども達と交流するというテレビ番組を視聴。チョコレートを食べたことがない子どもに、チョコレートをあげるべきか、あげないか個人での意見を考えた。

その後グループ内で話し合いをして意見をまとめ、チョコレートをあげるかあげるないか、グループとしての意見とその理由を全体に発表した。テレビ番組の出演者たちはチョコレートをあげるという判断をしたが、自分たちの意見と比較しながら、カカオ農園で働く子ども達の幸せとは何かを考えることができた。引き続き、授業の最初に読んだ高校生の生活は、日本国内で起こっている貧困問題であるということを学んだ。

生徒たちはこれまで学んだ内容をもとに、「カカオ農園」というキーワードからウェビング手法を使って様々なキーワードを記入。キーワードごとに関連性を考えながらSDGsカードを置き、それぞれの問題についてグループで話し合った。最後にワールドカフェ方式で他のグループの意見を聞き、考えを深めた。

ガーナのカカオ農園で子ども達と交流するテレビ番組を視聴。

カカオ農園で働く子ども達にチョコレートをあげるか、あげないかを自分なりに考え、グループ内で発表する。

グループ内で意見をまとめ、グループでの結論とその理由を発表する。

ウェビング手法を使って、カカオ農園から関連するキーワードを書き出す。

書き出したキーワードに関連するSDGsカードを置き、それぞれの問題点を考える。

 

[生徒の振り返りまとめ]

設問1  カカオ農園ワークショップを通して感じたこと、考えたこと、学んだことなどを教えてください。

  • 自分たちの豊かさは、誰かの努力や犠牲のもとにあることだと思った
  • チョコをあげるあげないの質問で最初はあげる方を選んだが、様々な意見を聞いてどちらが良いか分からないと思った。グループ内の意見ではあげないことになり、その選択をした後に映像を見た時、男の子達が笑顔で喜んでいて嬉しい気持ちになった。でも、その時は幸せでも時間が経ってあの時は楽しかったと過去形になってしまうのは悲しいと思った。また先生の話を聞き、魚をあげるのではなく、魚の作り方を教える技術を与えることが大切だと思った。技術を教えればガーナ内で収穫から生産までできて先進国に騙されることもなくなるかもしれないと思った。一部の人の問題を一時的に解決することはできても全体を解決することは難しいと感じた。
  • 世界には、1日の大半を家の手伝いで過ごしている子供達がいることを知った。いままで普通にチョコレートを食べていたがこれからは映像を思い出しながら食べることになると思う。また、フェアトレードの商品があれば買ってみたいなと思った。
  • 中学の英語の時間にカカオ農園で働く子供について勉強したが、映像で流れているのを観ると、今自分は勉強が出来ているか自問自答した。 チョコをあげるかあげないかを話し合った時、単発的な支援で持続可能では無いと言う意見がその通りだと思った。あげた後どうなるのかは、その人その人だから難しかった
  • ガーナなどでカカオを栽培している子供達にチョコをあげるか、あげないかという問いについて私は最初あげないという意見を持っていた。自分たちが安い賃金でこれを作っているんだと思ってしまわないか、一方的にあげるのではなく他に出来ることがあるのではないかと思ったから。しかしグループの人の、チョコをあげて子供達がどう思うかがこれからの頑張る糧になったりモチベーションになったりするという意見を聞き、チョコをあげてプラスに捉えることも出来るんだと思った。自分達が作っているものが何に使われているか分からないままいるよりは知った方が良いのではとも思った。
  • 日本でも不平等な取引をしているということを初めて知った。そのような国がたくさんあるために、ガーナの子達の運命が一生変えられてなく、モノカルチャー経済になっていると改めて感じた。
  • 最初に高校生の女の子の話を読んだ時はすごいとしか思わなかったが、動画を見て考えが変わった。児童労働には、貧困などだけでなく、色んな問題が関わってくるんだと思いました。カカオ農園で働く人たちがチョコを一回も見たことも食べたこともないことに驚きました。
  • チョコをあげるかあげないかで、自分は、ガーナの人が先進国に対して憎悪心みたいなものを抱いてしまうと思いあげないことを選択した。しかし班の人や映像ではあげることを選択していてチョコを通して誇りを持つとの意見もあった。このことから、あげないことを選択してしまえばガーナの人々には幸せや悲しみの感情も残らず、この現状を変えてくれる人材も減っていくと感じた。
  • チョコをあげるかあげないかとなった時に凄く迷った。最終的にはあげるにしたが、あげる方では子供達が作っているものがどのようなものになっているか知って欲しいという考えで、あげない方ではチョコというものを知ることで先進国との差を感じてしまうことがあるのかもしれないという考えで、難しい問題だった。自分があの場面にいただ、どのような選択をするか考えがまとまらなかった。
  • カカオ農園ワークショップは2回目で、1年生の時とは違う視点から考えられた。ビデオを見てチョコレートをあげるかあげないかですごく迷ったが。あげないという意見は途上国は一時的な支援ではなく持続可能な支援を望んでいるということだった。あげる側の意見では、チョコレートを知ってもらって自分たちがしている仕事に誇りを持ってもらうという考え。どちらの意見でもメリットやデメリットが出てしまう。自分達がガーナの子供たちだったら、そこを旅していた人だった、との立場で考え方が変わってくることを学んだ。
  • チョコレートをあげるかあげないか、という議論は安易に決めることでは無いと思った。どちらにもメリット、デメリットがあるのでしっかり吟味したうえで決めることが大事。私はチョコレートのような消費されるもの、いずれなくなるものはあげてはいけないと思った。理由は長期的視野で考えると幸せな時間は僅かだから。一方で、無くならないものはあげていいと思う。例を挙げるとサッカーボールなど。サッカーボールも壊れることもあるが、長期的視野で考えるとチョコレートよりもサッカーボールの方が幸せの時間が長いから。
  • カカオの映像は何回観ても、大変さが伝わり、心が揺さぶられる。甘いチョコレートは好みではない為、食べる時はカカオが多く含まれてるチョコレートを食べる。その事から、よりカカオにお世話になっていると身に染みた。今回のワークショップを通して、チョコレート以外にも考えてみると、原点にたどると苦しい状況の中で、私達の身の回りの食べ物などができている。日常に感じている裏には、精一杯に働いてくださってる感謝の気持ちの重みを感じれたワークショップだった。ひとつひとつ、丁寧に大切にしていき感謝を忘れずにしていきたいと改めて思う。
  • 動画をみて、チョコをあげるか、あげないかの選択っていうのは本当に難しかった。あげることで、自分たちの職に誇りを持ってもらいたいという意見を聞いた時は確かにそうだとも思った、またあげないことで知らない幸せがあることを知った。正解がない問題は、本当に難しいと思った。
  • 自分で作ったカカオがどのように加工されどんな人達の元に届いて、それを届けられた人たちがどんな気持ちになっているのかを知らないということは、とても残念なことだと思った。また、農園にまかれる農薬などは先進国から輸入しているのか疑問に思った。
  • 「児童労働」というひとつの問題は他の世界課題、地域課題にも繋がっている。それは、現地の人達の問題ではなく、歴史的にも、文化的にも先進国の私たちに責任があるということ。問題の根柢にいる私たちが目を向けなければいけないということを実感した。
  • このようなワークショップは以前に参加したが、その時はまだ知識も浅く学習の器が浅かったため、あまり自分の学びとして深めることができなかった。しかし、今回は動画を見て現状を知ることができたこと、現地に行った人達が起こしたアクションが本当に大切なことなのかを深く考える良い機会だった。班で「チョコレートを渡すか渡さないか」という議論では、渡さない側の意見である「あげた際に一瞬の幸せを得ることが出来るかもしれないけど、そこから起こる先進国との格差の可視化」という意見は私自身もこの議題で考えた。しかし、実際に現地に行った時に彼らが出来ることはとても限られており、「まず自分が今できることは何か?」を考えた時に私もチョコレートをあげることが最善なのかなと思った。自分が何故働かされているのか、なんの為に労働させられているのかをしっかり伝える事でより彼らの労働への価値観は大きく変わると思う。そしてなんと言ってもチョコレートやサッカーボールなどをあげた時の子供達の反応にとても感銘を受けた。私たちが好きで幸せに感じられるものを共有できることはこんなに心に響くのだと気付いた。もしかすると、人によっては自分だけの幸せを押し付けているという捉え方になるかもしれないが、子供のあの笑顔は紛れもなく幸せな表情だった。そのことを踏まえてどのように児童労働問題を解決していくのか、どうすれば国全体で幸せを共有出来るのか、もっと行動してその方法を見つけたいと強く思った。今回のワークショップでは自分のこれからすべきことを大きく左右されるとても良い機会だった。

設問2  ワールドカフェやグループ内で話し合った中での気づきや感じたこと、学んだことなどを教えてください。

  • ガーナなどモノカルチャー経済の国は気候変動に弱く、仕事が他にないので負のサイクルが続くから発展も進まないし、そのような国が熱帯にあった場合蚊も多く病気も流行しやすいと言ってる人がいて、技術を持っていないのもあるが、環境も大きく影響することに驚いた。日本などの先進国は熱帯と比べれば住みやすいし、仕事も選べるのがあたり前で気づかないが、環境の違いがとても重要だと思った。様々な問題と結びつけることで自分では見えていなかった関連性が見えてきた。そういう視野で考えることを大切にしていきたい。
  • 私はチョコレートをあげたかったが、グループの先輩方含めたくさんの人の意見を聞き、持続的な支援が必要だということや発展途上国の人々が本当に望んでいるものは何なのかということを慎重に考えていかなければならないと感じた。
  • 途上国では医療技術は発展していても、その医療を受けるためのお金が足りていない、医師が不足しているということを知った。一番大事なのは途上国の中での賃金格差や、教育が受けられない子供を無くすことなのではないかと感じた。様々な課題やキーワードから連想して考えていくことで、児童労働やカカオ農園、フードロスなどは自分とは全く無縁な訳ではないことを知ることが出来た。
  • 教育体制が整っていないことから犯罪が起こりやすくなったり他人とのコミュニケーションがとれないという問題に気づいていた班があった。 意見を聞いたり、共有することでたくさん発見をすることができた。
  • チョコをあげる人、あげない人とそれぞれ色んな考え方があり、とても貴重な時間になった。私はあげないにしたが、同じ選択でも、子供達の人生の夢が無くなってしまうという考え方があり、なるほどと思った。あげると答えた人は、自分に誇りを持ってほしいや、希望を持ってほしいなどの考えもあって、自分達だったらという視点で相手の立場に立って考えてみると難しい選択だと思った。
  • カカオ農園の人達にチョコをあげるかどうかということは決めるのが難しいと思った。その子供たちはチョコを一度も食べたことがないので、食べさせてあげることで、自分たちのことを誇りに思うかもしれない。しかし、チョコをもらった時は一瞬の幸せで、そこから一生食べられないと悲しんで悪い方向に行く可能性もあるので、決めるのは難しいと思った。
  • 児童労働という1つの課題から、それに繋がるたくさんの問題があり、自分たちでも改善や意識しなければならない。どのような問題も他の問題と繋がっていて、世界中の人々が力を合わせる必要があり、世界の危機をもっと多くの人に知って欲しいと思った。
  • あげない方で出てきた、「1回きりの支援ではなく持続的な支援を」という意見が心に残った。私が最初に思っていたあげるという意見から、あげない方がいいかもしれないと考えが揺らいだ。 反対にあげるという人の意見では、子供達がチョコを貰った時にポジティブに受け止めるかメガティブに受け止めるか分からないので、まず自分達が最初の1歩を出すという意見も大切だなと思った。
  • チョコレートをあげれば絶対に喜ぶのであげたほうがいいと思っていたが、相手の立場になって考えてみるとあげたら逆にやる気が無くなってしまうのではないか、一時的な支援は相手にとって良くないなど色々な意見を聞くことで、自分の考えを広げることが出来た。
  • カカオ農園の児童労働からくる問題は沢山あり、環境やジェンダーにまで関わる問題だとわかった。問題が繋がっている負のサイクルを生んでしまい、そこから抜け出せなくなってしまう。班の中で、どの問題を断ち切ったら児童労働の問題が解決するのか?ということを質問されたが、その答えが出なかった。これからのグローカルの授業での学びで考えていきたいと思った。
  • ワールドカフェ方式だと自分たちの班の意見だけじゃなく他の班の意見と自分の意見を擦り合わせて考えることができるのでとても良かった。
  • カカオ農園と関係のあるものを挙げていく中でカカオ農園は自分にとって遠い問題だと思っていたが、実際はチョコレートとして自分の手に届いることから、身近で自分にも関わりがある問題だと実感することができた。他のグループの意見を聞いて、農園にまかれる農薬から環境破壊につながっている、子供たちが教育を受けられないなどSDGsに全て繋がっていると思った。また、フェアトレードなど途上国を支援する取り組みはあるものの知名度が低いので高めていく必要があると感じた
  • カカオ農園で育てているカカオには、農薬が使われているため、環境問題に関わるという話があったが、現地の人達は、農薬をどこから購入しているのだろうかという疑問が浮かんだ。農薬散布を誤って命を落とすケースも考えられるので、とても気になった。
  • 私たちの班では「環境」「不平等」「貧困」「教育」という分類にそれぞれ重点的に考えた。最初の方は「環境」と「貧困」が繋がると思っていなかったが、やはりどの問題も他の問題を重なり合う連鎖的な関係を見つけることが出来た。また私たちの班では、世界の中でという大まかな視野から見ていたが、他の班では日本での現状や自分たちの生活と関連付けていて、もっと理解すべき所があると思った。

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